いつか、愛想を尽かすから
=直人side=
「あなたの全て調べて見せます」
告白男子はそう言った。
「…………うん」
全てなんて調べられるわけがない。
心でそう否定しながら、俺は頷いた。
「そしたら、好きじゃなくなるから」
俺のことなんて嫌いになる。
近くにいたいと思わなくなる。
本当は後少し、何もかも、置き去りにしていたかった。
叶うのなら、一生、この薄っぺらな関係でいいと思っていた。
なのに、なのに……
お前が俺なんかを好きだと言うから。
冗談だって片付けきれないほどに愛を囁くから。
ダメだった。
怖くてしかたない。
いつか、離れていくんだと、考えた。
お前は俺に近づくたびに、俺から離れていくんだと思った。
俺は、
「早く、俺のこと知って、早く、俺のこと、嫌いになってね?」
もう置いて行かれるのは、嫌なんだ。
だから、突き放した。
いつか、愛想を尽かすから。
……もう遅すぎた。
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