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=孝side=
パズルが大好きだ。
一つ一つはめていく。あの感触。
完成した時の喜び。
俺は……
「どうした? 具合でも悪いか?」
「いえ、大丈夫です」
駅前のピンクでドリームな店。
男二人ではいるには多大な神経をつかうだろう店。
なんて、かわいらしいんだろ。
壁なんかもちろんピンクなわけで、いたるところにはお花やお人形。
頭が痛い……
実をいうと俺、こんな乙女な感じは苦手だ。
このテーブルも椅子も、床も照明も、何もかも。
ただここに意識が保てているのは、あれだ。実に単純だが
やっぱり、この先輩が好きだから、だ。
「そんなことより、直人先輩。メニュー、見ましょうよ」
俺は少しばかり震える手で、メニューをとる。
「好きなの頼んで下さい。俺、おごりますから」
「え、いいって。自分で出すし」
「嫌です。出させて下さい」
「……いや、やっぱ、悪いし」
「みたらし団子。前に約束したの、あれ」
「いいって。店がもうやめたんなら、しかたないし。お前のせいじゃないだろ」
「はい…。じゃ、割り勘で」
「う〜、てか、俺がおごるよ」
「ダメです」
「なんで?」
「す、好きな人におごられるのは嫌です」
正直な気持ちだ。
いくら、最近ちょっと金欠気味でも、それだけはいただけない。
なんていうか格好悪い。
「割り勘にしましょうよ」
俺は念を押した。
その時、直人は俯いた。
「何、ずっと、そんなこというけど、好きだって、ね」
直人は顔をあげる。
「何が? 俺の何が好きなわけ?」
今にも泣いてしまいそうな顔して、
崩れていきそうな顔して、
震える声で、
直人は俺に問いかけた。
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