絡まる手




仲直りした丹羽と小池に手を振ると、俺は、仕事終わりの淋しい帰宅路についた。

今日も快晴。
雲ひとつないことが、なんだか、一人落ち込んでいる自分を責めているようにも感じた。


商店街を歩きながら、俺は、ふと、目の前からこちらに歩いてくる、二人組に固まった。

水戸侑に、神崎千香。
これはいったいどういう組み合わせなんだよ…
俺は、呆然と二人を見ていた。
すると、楽しそうに話していたお二人は、俺に気づいたみたいで、

「神崎さん」

と口をそろえていった。

そう、水戸侑くんは、なぜか俺のことを直太郎と呼んでもいいと言っても、かたくなに神崎呼びをする。
神崎千香ちゃんに関しては、もう、猫かぶりをする必要もないのだろう。
俺のことを以前のように、神崎呼びをしていた。
そうそう、昔、ちょっと仕事を教えたことがあるんだよね。千香くんには。


「何してんだ? こんなところで?」

俺は若い二人に尋ねた。
大方の返事は分かっていた。
だけど、聞いた。


「もしかして、らぶらぶ?」

「ちょ、神崎さん!」

千香くんは思いっきり反論した。


なんだ、かわいいところあるじゃんか。






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