「いえ、俺が全部悪いです。信じさせることもできず、誤解をさせてしまうことしかできず、辛い想いをさせてしまいましたよね」

「丹羽は、悪くない!」

「いえ、俺は悪いです。本当に、あなたがそうやって、傷ついてくれたことが、心のどこかでは嬉しくて…。最低なんです」



「え?」



俺は驚いた。

嫌いになりましたか? と、丹羽は聞いてきた。


俺は首を振った。



「嬉しい」



俺とおんなじだ。
こんな気持ちでいたのは俺だけじゃないんだ。
丹羽も、俺がお前を想っているくらいに、俺のことを思ってくれているんだ。
そう思えて、俺は嬉しくて仕方なかった。


「きっと、最低なのは、俺もだよ」


「え?」


「だから、俺も、丹羽がそうして俺のことに必死になるの、嬉しいから」



そして、二人して笑い合った。
じゃあ、お互い様だと。
そうだね、と。


だったら、二人で最低になるくらい、愛し合おうと。


そう、誰も踏み込めないくらいに、

深いところまで、


落ちていこうと。



今度は二人で…





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