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=小池side=
丹羽が俺に会いに来てくれた。
丹羽が俺のこと好きだと言ってくれた。
必死になって、誤解なんだと言ってくれた。
嬉しかった。
それがとても不謹慎に感じて、俺は嫌になる。
どうしてこうも、どうしてこうも、俺は、
自分勝手なのか。
どうしてなのに、丹羽は俺なんかを好きだと言ってくれるんだ。
「俺、今も自分のことしか、考えていない」
本当に自分のことしか考えていない。
資料庫に閉じ込められた時もそうだ。
俺、言ったはずだ。
「丹羽にそう言ってもらう資格ない」
昼休みの静かなオフィスに、俺の声が響いた。
「俺は。ね」
丹羽には普通に幸せになってほしいんだ。
家族とかそういうの。
俺にはできないだろ?
ずっと、最近、考えていたことを俺は話した。
本当はこんなこと言いたくなかった。
不確かでもよかった。
丹羽を俺に繋ぎとめていたかった。
ずっと、そばにいてほしかった。
好きでいて欲しかった。
でも、丹羽に好きだと言われたら、俺にはそんな資格がないことに気づいた。
俺は、いつも、どうしてこうも、悩んでばかりいるのだろう。
終わったことは終わったことだと片付けられないのだろう。
俺はまだ終わらせたくないのかもしれない。
この自分勝手な恋愛を。
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