逃げない限界




=小池side=


いろいろと向き合おうって決めた。
丹羽がいてくれるなら、それ以上に望むものは何もないと思った。
どんなことにも、前向きになろうと、頑張った。

でも、考えてしまうんだ。
これからのこととか…


丹羽は俺を好きだって言ってくれたけど、
俺は、この関係を続けていくことに罪悪感を隠せない。

丹羽のことが嫌いだとか、好きじゃないとか、そんなのではなくて、
丹羽の将来のこととか考えると、
やっぱり、その、なんていうのかな、心配になるんだ。


丹羽は自分の子供が欲しいとか、考えたりしないのかな?

老後とか、どうするのかな?


不安になる。
俺が丹羽を繋ぎとめている間は、丹羽は普通には生きていけないんだと思う。
家族づれの社員を見るたびに、俺は、心のどこかが痛い気がしてならない。

それが、あたり前の幸せと言うのであれば、俺は丹羽から、それを奪っていることになるんじゃないだろうか?

考えて、考えて、わからなくなった。

ただ、丹羽の笑顔や優しさに触れて、俺は、丹羽といられる一瞬のことばかり
考えていた。


でも、丹羽が、女の子に恋をしたのなら、俺は、身を引くべきだろう。
そして、祝福してあげるべきだろう。
逃げずに、向き会って。
ちゃんと向き合って。


なのに、俺、駄目だった。

結局また逃げている。


見たくなかった。
見たくなかったんだ。

俺以外の誰かと幸せそうにしている丹羽なんて。


見たくなかった。


俺って、最低。
何さまなんだよって感じ。





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