12
「丹羽、話がある」
お昼休み、俺、傷心中。
「だから、丹羽って」
「神崎課長、俺、今、傷心してて、話も何も、聞きたくないです」
「馬鹿、こら、大切な話なんだ。小池の話なんだ!」
★…☆★☆…☆★☆…★
屋上につくと、課長は、
「浮気とかしてないよな?」
と聞いてきました。
「するわけないじゃないですか? 俺、丹羽部長以外は人間に見えてないですよ、きっと」
「言いすぎ」
課長は笑いながら、いや、笑い事じゃないんだけど、とまた話し始めた。
「勘違いしていたんだ。小池。ほら、最近、丹羽が小池ほったらかしだし、かと思えば、俺の妹ってことになっている神崎と仲良くしてるみたいだし。朝、そのことを小池はお前に聞こうとして駆け寄ってい行ったんだ。なのに、お前は何を思ってのか、謝った。小池はそれを浮気って言うか心移りを認めるんだなって、感じで問いかけたら、お前はまた謝っただろ。で、あいつ、完全に勘違いしてんだよ。丹羽」
「なんでそうなるんですか?」
「なんでどろうね。たぶん、丹羽がほったらかしにし過ぎたんだろ?」
「俺、2日ほったらかしにしただけですよ?」
「…あ。あれだろ、丹羽はずっとべったりだったから、急に2日もほったらかしにしたらそうなるんだろうかな?」
「とりあえず、ありがとうございました。俺、誤解を解いてきます!」
「ああ、頑張って」
俺は片手をあげた。
丹羽は素直で、真っすぐでいいよな。
と、少しばかり、憧れた。
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