「本当に?」

ケイは俺のことを真っすぐ見つめてきた。
可愛い顔して、その迫力は何なんだ。

「本当、本当っていうか、嘘なわけないだろ?」

「確かに、直太郎はこういう嘘はつかないけど、だったら、なんで、あんな顔してたんだよ!」

「あんな顔?」

俺は小首をかしげた。
小池のくせがどうやらうつってしまったようだ。

「たまたま、なんだけど、あの小池さんのアパートの方角に友達と歩いていて、たまたまなんだけど、そこで、切なそうにしている直太郎がいて。何さ、小池さんが家に入った後、何、ドアに切ない目線送ってんの? まだ、好きなんじゃないの?」

ケイは泣きそうな顔をして、そう言った。

「いや、違わなくはないが、誤解している」

「どこがどう、誤解って言うんだよ!?」

ケイは警戒した猫のように、ものすごい形相で俺をにらんだ。
俺はしかたないので、一から説明した。
小池が丹羽っていう部下と付き合っていて、最近その部下は他の女と仲よさげにしていて、小池が元気なくしていて、俺は昔に小池に落ち込んでいた時に助けてもらったから、今度こそ助けようと思ったんだけど、何もしてあげられなかったんだ。それが、悲しくて、やるせなかったんだ。

そう、ケイに包み隠さず話した。





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