向かい風に煽られて
第五話 「そばにいるから」
=小池side=
丹羽と付き合い始めて1か月がたった。
特に何も変わったことはなくて、
でも、やっぱり幸せで。
俺はこんな日々が続いていけばいいと思っていた。
「小池?」
神崎が不思議そうな目をして、俺の方を見る。
俺は「何?」と小首をかしげた。
今は、昼休みで、神崎といつも通り飲食店に来ていた。
「丹羽のことが」
気になるのか、と神崎は聞いてきた。
「え、なんで、別に、いつも丹羽が持ってきているお弁当って誰がつくってんだろう、とか、考えてないし」
あ、言っちゃったよ…
馬鹿か、俺は。
「ちょ、神崎、今のなし」
俺は慌てて、取り消そうとした。
なのに、神崎は深刻な顔をして、
「あいつ、一人暮らしなのに、おかしいよな」とか、言った。
それは俺も気にしていることなんだ。
自炊の可能性もあるのに、なんでだろうか。
最近、丹羽の弁当、雰囲気変わっていたんだよ。
もしかしたら…
そう考えてしまう。
嫌な奴だな。
俺。
丹羽のこと信頼してないのかな…
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