泣きたくないから、笑顔でいよう。
そう、また、俺はスタートラインに立った気がする。

「課長!」

仕事中にも関わらず、いつもの女子社員がキラキラと俺に近づいてきた。

「私、見ました」

「何を?」

いろいろと後ろめたいことが多い俺は、何を見られたのか、ドキドキした。


「同姓、してるじゃないですか?」

「は、同居の間違いだ。あれ、男だぞ?」

「そんなことはわかってますよ」

「そうか、ならいいんだよ…っていうか!?」

「わーい、ノリツッコミだぁ」

「……いや、同居だからね」

「なんでそんなに訂正するんですか? ますます怪しいですよ?」

「俺はお前の存在が怪しいんですけど」

「嫌だな。私、女の子ですよ?」

「心が?」

「…身も心もに決まってんじゃないですか?」


今の間は何なんだろうね。
俺は知っていながら、あえて、これをネタにこいつで暇つぶしできるな、とか考えた。






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