かわることを怯えてはいけない
「かわることを怯えてはいけない。そうも、言ってくれたんです。だから、俺にとっての特別なのかもしれないです」
「そうか。ありがとう」
よかったのかは別にして、ケイをそうやって必要としているやつがいるのはいいことだと思えた。
もちろんお友達としてだ。
…なんか、今、娘を嫁に出したくない父親の気持ちがわかるきがする。
「でも、わかってますから。安心して下さいね」
「何が?」
「なんでしょうね?」
水戸侑はにっこりと笑った。
淋しい笑い方もするんだな、と思った。
「あ、そういえば、勝手に上がり込んで、すみませんでした。ケイくんが家に上がってろ、と鍵渡されて、その戸惑ったんですけど」
「あ、いいよ。ちらかってるけど、気にしないでくつろいでくれ。あ、そうだ。侑くんはショートケーキって言われたら、何を連想する?」
「…え、あ、バースディケーキです」
「そっか。そっか」
今時の子ってそんなものなのかな。
俺はケーキはろうそく立てたらなんだっていいけど、
ケイはかたくなに「誕生日はショートケーキ」発言をした。
ま、かたくなって言っても一回だけなんだけど。
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