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俺は一人ガッツポーズをきめ、リビングに向かった。
知らない人がいた。
ケイの彼氏さんかなって、
俺は思った。
だが、
「誤解しないでください。俺、女の子が好きですから」
と、自己紹介もそっちのけで少年は言いきった。
どうやら、本当に、そのように思える。
「あ、すみません。俺、水戸侑っていいます。ケイくんとはただのお友達で。その、あの、いつもケイくんにはお世話になっています」
緊張しているんだろう。
水戸侑は噛み噛みになりながらそう言った。
「こちらこそケイがお世話になっています。ケイとはいつから?」
「この前の劇以来です。俺、ひなどりちゃんをしていたんですよ」
「わり、顔までは見えなかった」
「ですよね」
水戸侑は人懐っこい笑顔をした。
こいつは愛されて育った部類の人間なんだと思え、少しばかり醜い心にもなるが、
俺はそんな俺をなだめる。
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