涙さえも温かいんだね
帰り道、俺はケーキ屋に入った。
そういえば、文化祭のお疲れ様的なのをしていないことに気づいたからだ。
今さらでも気づけたことを無駄にしないように俺は…なんてな。
にしても、たくさんある種類に目を回しそうになる。
小池だったら、めちゃくちゃこういうの知っているんだけど、俺には何がなんなのか全くわからん。
みんなケーキじゃん。
あー、でも、
ショートケーキじゃなきゃ、ケーキじゃない。
ケイはそう言っていたんだよな。
よし、決まり。
ショートケーキを買った。
あれ?
あ、そうか。
完全に忘れていた。
ケイがショートケーキにこだわった理由。
俺は、家に帰ったら、ゆっくりと話そうと思い、
マンションにはいろうとした。
いつの間にやら、取材陣がいっぱいになっていた。
俺は「プライバシーの侵害ですよ?」と言って、家に入ろうとした。
カメラが回っていた。
だから、俺は言ってやる。
「流したければ、今のもどうぞ、流してくれていいですよ。そのかわり、こちらからのコメントはこれ以降ないものだと思ってくださいね。こんな卑劣なやりかた嫌いだと思うんで。あいつ。という、か、俺が嫌いなんです。わかります? 意味、わかりますよね」
冷たく笑った。
取材陣は居心地悪そうに退散していった。
勝った。
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