6
「ケイには楽しんでほしかった。俺、ケイにはケイの生き方をしてほしいと思っていた。だけど、それって、放任すぎた?」
俺は、親戚の家にいた時はいつも、気を使っていた。
だから、ケイには、そんな思いをさせたくなかった。
俺は説明した。
少しでも誤解が、ケイの孤独が、とけたらいいと思った。
「馬鹿」
ケイはそう言って、ホットミルクを投げつけようとした。
が、途中でやめた。
「わかるようにしてくれないと、俺、そんなことわからないし」
「泣くなよ。ガキ」
「…俺って、もう、大学生。ガキじゃない」
「俺みたいなおじさんからしたら、ガキだよ」
「小池さんには勝てない?」
「は?」
今のはなんなんだ。
俺は自分の耳を疑いながら、ケイを見つめた。
「何でもない。なんでもないから」
へらっと、ケイは笑った。
何年ぶりの笑顔だろうか。
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