あたえられるだけのひなどり
=ケイside=
何をしているんだろう。
俺は部屋に閉じこもっても、何も変わらないことを知っていたのに。
何を期待しているんだろう。
何を望んで、こんなことをしているのだろう。
わからない。
わからない。
ただ,俺を呼んでくれる、直太郎の声が聞きたくて、仕方なかった。
俺を必要として欲しかった。
本当は迷惑かなって、いつも、不安だった。
だって、急に、家に、ガキがきて、自由に暮らしていたはずの暮らしを邪魔されるようなものだろ?
俺なら、耐えられない。
どうして、こんな奴の世話をしないといけないんだと、怒りだすだろう。
だから、俺は直太郎に嫌われようといろんなことをした。
そして今も、嫌われてしまえばいいと思っていた。
直太郎の優しさは痛いほどに、胸にささる。
俺は、自由気ままに見えて、実は繊細な、
直太郎の背中が好きだった。
あんたの恋をする目が好きで、好きで、いじめたくもなる。
こんなのはダメだ。
俺は自分の立場をわきまえるべきである。
だから、無条件に優しくするなよ。
直太郎。
好き。
どうして、嫌いになってくれないの。
期待、するだろ。馬鹿。
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