いつまで閉じこもっているつもり?
「ごめん。直太郎。俺、寝るから」
ケイの奴がそういって、自室にこもって、半日が過ぎた。
おなかをすかせてないか、トイレは大丈夫なのだろうか?
俺は馬鹿みたいに心配していた。
小さい頃から、手のかかるガキだった。
ケイとの出会いは五年前にさかのぼる。
俺が、課長になって、生活も安定していたころの話になる。
「実は直太郎に弟ができました」
とか、いきなりパパが連れてきたのだ。
あぜんとした。
だから、どうしたんだと、言いたかった。
「そんな顔しないの!」
「で、何なんだよ?」
「預かって?」
「は!?」
「いいじゃん。ケイっていうんだけど、かわいいし。うん。預かってよ」
「強引に言うけど、もしかして」
「そう、新しい女できたから、面倒みてあげられなくなちゃったんだ」
てへっ。
と、どうしようもないパパは笑った。
俺も笑った。
乾いた声しか出なかった。
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