秋日散歩/けもパラ






「ナールト。一体どこに行くの?」
「えっと…あっちだってばよ」

 森に実りの秋がやってきました。
 この時期はたくさんの実や果実が生るので、森には食べ物が豊富です。
 しかしすべてが食べられる物か…と問われれば否と返ってくるでしょう。
 沢山の美味なものに紛れて、毒性があるものもこの時期に生ることを、森に生きるものは、大概知っているからです。

「あっちに何があるの?」

 森を抜けた草原の更に先の森へ、金の狐は銀の狼の手を引っ張るようにして歩きます。

「美味そうな果実が沢山なってるんだってばよ。そんでそれ食えんのかなぁって思ったからカカシに見てもらおうと思ったんだってば」

 森に生きる者としては、断然知識の乏しい金の狐は、知識の豊富な銀の狼を何かにつけては色々頼ってしまいます。
 それに金の狐は、この優しくてカッコイイ銀の狼のことがとても大好きなのです。いつも一緒に居たくて、毎日逢いに来ている程です。

「それってデートのお誘い?」

 そうだったらイイなぁと期待を込めた眸で、銀の狼は金の狐を見つめました。
 そうじゃなくて知識を請われただけだとしても、愛しい相手に頼られて嬉しくないはずはありません。
 何かにつけ己を訪ねてくる金の狐が、愛おしくて堪らない銀の狼は、金の狐の望むままに知識を与えてやるつもりです。

 けれど。

 少しの甘い感情を期待してしまった銀の狼は、銀の尻尾を忙しなく振りました。

「そうだってばよ/// カカシと一緒に食いたかったらさ…もしかしてヤだってば?」
「嬉しいに決まってるでしょ!!」
 期待通りの答えに銀の狼はご機嫌に尻尾を振り、金の狐を抱き寄せました。
 金の狐は銀の狼の傍にぴたりと寄り添います。
顔を近づけると、舌先を舐めあい口付けをしました。
 そしてふたりで照れくさそうに微笑むと、仲睦まじく寄り添い合いながら、森の奥へと歩いて行きました。




戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -