「そ、なら。俺は急用が出来たから、一足先に里に帰らせてもらうよ。後のコトは頼んだぞテンゾウ」
 「ちょ!!ちょっと待ってください。まだ任務は終わってませんし、この班の隊長はカカシ先輩なんですよ?任務を放棄するつもりですか?」
 「任務は間もなく完了なんだろ?放棄には当たらないじゃないか。確認だけなら俺じゃなくてお前でも十分だろ?」
 「しかし…あと少しで完了なんですから…」
 「あのねテンゾウ。俺は急いで里に帰りたいの。1分1秒でさえ惜しいの」
 「何故そんなに急くのですか?」
 「今日はね、大事な大事なナルトの誕生日なんだよね。だから少しでも早く帰ってお祝いしたいのよ。俺としては…」

 判ってくれたかな?と半ば脅すようにすれば、テンゾウの呆れ顔が引き攣る。

 「と、云う訳だから…後は頼んだよ」

 二の句を告げられずに固まっているテンゾウの肩を、ぽんぽんと叩き体よく残務を押し付ける。
 そしてテンゾウが復活する前に、俺は一先ず瞬身でこの場から離れるコトに決めた。

 任務地から程好く離れた場所へ降りたって。深呼吸をひとつ。そうして逸る気持ちと鼓動を少しだけ静める。

 「さぁて…本気出すとしますか…」

 ひとり呟いて気合いを入れ直す。

 1分1秒でも早く。
 家で待つ愛するナルトの許へ帰る為に、チャクラを足に集中させると、枝を蹴って跳躍し木ノ葉に向けて風の如く疾走を開始した。



続く


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