ぼんやりとそんなコトを考えてたら。ナルトが俺の首に腕を絡ませてきた。
 唇だけでせんせぇ…と云い、さっきまでしていた甘い口付けの続きを催促するみたいに、色っぽく見詰めてくる。

 「あー…ナルト。俺もイチャイチャしたのは山々なんだけどね、あんまり時間ないのよ…」
 「?どうしてってば?」

 事情を知らないナルトはきょとんとして、素直に疑問を口にした。それに俺は苦笑いを洩らしてしまう。

 「この口寄せ、10分しか保たないから‥」
 「へ?10分だけ?」
 「うん、そーなのよ…だからあと5分ぐらいだけなんだよね〜居られるの」
 「え?なんでだってばよ?」
 「ん〜?あぁ、いやぁね…お前がもっと早くこの巻物開くと思ってたからさ、日中は任務中だったし、時間制限しておかないとね、って思って‥。それ分のチャクラしか使ってないのよ…」

 苦笑いのままゴメンねと謝れば、ナルトは勢い良く首を横に振る。

 「まだ任務中…なんだってば?」

 俺を見上げる蒼い眸は、逢えるのはまだ先なの?と云いたそうに寂しげに揺らいでいた。

 「いや、任務はついさっき無事に終わったよ。今は他のメンバーが後始末してる。それが終わったら帰れるよ」

 優しく頬を撫でながら予定を伝えれば。ナルトは途端に笑顔を取り戻す。

 「え?いつ?いつ帰って来れんだってば?」
 「う〜ん…明け方前には帰れる‥かな?」
 「マジで!!」

 帰宅時間を伝えただけなのにナルトはヤッターと躁いで、俺をぎゅっと抱きしめた。
 懐いてくる飼い猫みたいに、すりすりっと頬を寄せてくる。

 「うん。それより早く帰れるように頑張るよ。お前の誕生日祝い、少しでも早くにしたいからね」
 「ならさ、ならさ。オレってばせんせーンちで、せんせーが帰ってくんの待ってるってばよ!!」

 ベストをきゅっと掴んで捲し立てるように話すナルトが凄く可愛らしい。
 しかも俺を待ってるなんて嬉しいコト云ってくれちゃって…
 まったく‥どうしてこう、俺が浮かれちゃうようなことを、平然と云ってくれるのかなぁこの子は…

 ナルトの気持ちが凄く嬉しくて。俺は腕の中の愛しい子を強く抱き寄せる。そうすれば、ナルトも背中に腕を回して、ぴたりとくっついてくる。

 「うん、そうしてて。少し遅れちゃうけど、誕生日祝いさせてね?」
 「うん!!楽しみにしてるってばよ!!」

 満面な笑顔を俺へと向けて、ナルトは好き好きと云うように、俺の首許におでこを摺り付けてくる。

 そんな可愛い行動ばかりするナルトだから、起きて待ってる!!って言い出しそう…。その前にしっかり釘を刺しておかなくちゃね。

 「あ、でも。ちゃんとベットで寝てなさいよ?起きて待たなくていいからな」

 俺の勘は当たってたらしい。先手を打たれたナルトはあたふたとした様子をみせる。

 「え、でも‥それじゃ…」
 「大丈夫。帰ってきたら起こしてやるから‥な?」

 あからさまに不服と顔に書き、起きて待たせろと云いたげな蒼い眸。いつもなら許しちゃうトコロだけど、今日は帰れる時間に保証が出来ないから、ナルトに諦めて貰うしかない。
 拗ねてるナルトに優しく微笑んで、宥めるみたいに頭をポンポンと撫でた。程無くして、ナルトは窺うように上目使いで俺を見てくる。



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