"手"って書いてる上にそっと掌を乗せた。
 数秒後パックンの時と同じように煙が上がる。煙と同時ぐらいに暢気声が聞こえた。

 「やーっと呼ばれたよ」

 煙の退いた後には、オレが逢いたかった大好きな恋人が巻物の上に佇んでいた。

 「カカシせんせー!!」
 「誕生日おめでとう〜ナールトv」
 「せんせーありがとってば。…つうかマジで?マジで本物だってば?!」

 嬉しさのあまり、先生に飛びついた。

 「はいはい、本物ですよ〜」

 にこっと笑って。カカシ先生が、オレを抱きしめてくれる。
 いつも通りな先生の感触に更に嬉しくなって、オレもぎゅっと抱きついた。せんせーせんせーって小さく呟きながら、胸元に頬摺りをする。
 先生はいつもの優しい手つきで、オレの髪を掻き上げるみたいに、柔らかく撫で梳いてくれる。
 髪を撫でられる気持ちいい感覚に囚われて、うっとりと眸を細めて先生に身を委ねた。
 べったり貼り付いてると、旋毛辺りに小さなキスが落ちてくる。
 唇にもして欲しくて、慌てて顔を上げて先生をじっと見つめる。
 無言の催促が伝わったのか、先生はくすくすって小さく笑って、ちゅっと短いちゅーをひとつ落としてきた。

 そんだけじゃもちろん物足んねーからさ。恨みがましくじとーっと見てやった。
 オレの云いたいことが判ってるっぽい先生は、オレのほっぺたを掌でゆるゆると撫で摩ってくる。
 いつもなら気持ちよくて眸閉じるトコだけどさ。今はもっと甘いちゅーがして欲しいから、この手の感触に惑わされたりしないってばよ。

 そんな訳で、尚も先生のコトを見つめてたら、先生の顔が蕩けた笑顔になった。
 あんまりにも嬉しそうに顔を綻ばせるもんだから、オレは胸がドキドキになっちまう。

 この笑顔は反則だってばよ‥

 ドキドキしながら、先生から目を離せずにいると、先生の顔が近づいてきて唇をそっとはまれた。一度だけじゃなくて、何度も…
 唇を柔らかく啄むみたいに優しいキスをしてくれる。
 オレは先生の首筋に腕を回してしっかりとしがみついた。それから、先生との甘ったるいちゅーを楽しむ。

 「あー‥それじゃカカシ、拙者はお邪魔だろうから、そろそろ帰らせてもらうぞ?」

 キス音を立てながらふたりでちゅーに夢中になってたら、足下からパックンの声がした。

 そういや、パックンがまだ居たんだった‥

 「あぁ。ご苦労ね、パックン」 じゃあな、っと片手を上げてパックンが先生に挨拶をした。オレもバイバイと手を振る。

 「おっと…その前に、ナルトよ、誕生日おめでとう」
 「あんがと、パックン!!」

 じゃぁ、そう言うと今度こそパックンの姿がばふっと消えた。

 やっと先生とオレのふたりきりになったから、思いっきりイチャイチャするってばよ!!

 そう思って、先生にべったりと貼りつき、さっきのちゅーの続きを催促する為に、先生の首に腕を巻き付けた。

 「あー…ナルト。俺もイチャイチャしたいのは山々なんだけどね、あんまり時間ないのよ…」
 「?どうしてってば?」
 「この口寄せ、10分しか保たないから‥」
 「へ?10分だけ?」
 「うん、そーなのよ…あと5分ぐらいだけなんだよね〜居られるの」
 「え?なんでだってばよ?」
 「ん〜?あぁ、いやぁね…お前がもっと早くこの巻物開くと思ってたからさ、日中は任務中だったし、時間制限しておかないとね、って思って‥それ分のチャクラしか使ってないのよ…」

 困ったような苦笑いをしながら、先生がゴメンねと謝る。



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