「ダイヤモンドダスト」という声が部屋に響いて、爆音が轟いたのは沙織に借りていた部屋を掃除している時だった。

爆音の直後に僅かに屋敷がゆれて、みしりと音を立てる。ぱらぱらと天井から埃が落ちてくるのを構わずに窓から外を覗き込んだ。そして目を疑う。

一体何があったのか、辺り一面霜が落ちて一部の壁に関しては氷でがちがちだ。そして地面がクレーターのように大きな穴を持っていることに気が付いて目を疑う。


ああ、

夢だよ、夢。

そうそう。だって今日は確かに寒いけれど雪なんて降っていないし?そもそも何あのクレーター?先ほど窓を開けた時にはなかったよね?隕石でも降ってきたわけ?

そう考えてやはり夢なのだと結論づけようとしたとき辰巳さんの怒声が響いた。

「お前たち!!屋敷の中で暴れるなとあれほど言っただろう!!」
「修行の一環だ」
「お前たちの修行をこんなところでやられては城戸邸が持たんだろう、この馬鹿ども!!」

辰巳さんが叱っている先には氷河君と紫龍君が立っていた。
一体あの二人は何をしていたのか。というより辰巳さんの怒声がはっきりと耳に届きすぎて現実だと言うことを思い知らされる。

しばらくすると瞬君が焦ったような声で「何をしていたの」と言いながら屋敷から駆けて行く。その後ろからすぐにサガも続いて「お前たちは…」と呆れたように呟いた。

「集中力が足りていないのだ。良いか、紫龍、氷河、拳を打つ時には…」
「サガ!お前も余計なことを言うんじゃない!」
「すみません、辰巳さん…。ほら、氷河、紫龍も謝って。僕たちでなんとか直しますから…」

そんなことを言う彼らに何か声をかけるべきだろうかと考えた時に肩に手を置かれた。意識を窓の下に集中していたせいで、小宇宙がすぐ後ろまで迫っていたことに気が付かなかった。
そのせいでとてつもなく驚いて飛び上れば、私の肩をたたいた彼も驚いたように目を丸くした。

「びっ…くりした、」
「驚かせして申し訳ありません、ニケ」
「ううん、気にしないで。私がぼーっとしていたのが悪いから」

アイオロスはその言葉に僅かに表情を緩めて「お怪我は?」と尋ねてきた。何もない。私より下で何やらしていたらしい紫龍君と氷河君は大丈夫なのかと聞けば彼は何も問題はないと答えて窓から下を覗き込んだ。

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