「ほう、なかなかいいセンスですね、なまえ」
「いやいや、ミーノスのそれも中々だよ。ていうかこれどうするの?」

手の中の料理(笑)に視線を落とす。私のとミーノスのを交互に見比べて、また彼に視線を戻した。私のたこ焼き(笑)はまだマシだ。かっこ笑をつけないとダメな代物には違いないが、まだ食べられる範囲であるはず…、たぶんおそらくきっと。でもミーノスの手元にある真っ黒い液体はどう見ても食べられるものではない。なんだっけ…、どこかで見たことあるな、墨汁なんかよりもっと黒い…、ああ思い出した!瀝青だ!!

「ねえ、それ食べるの?」
「ええ、食べさせます」
「あ、食べるんじゃなくて食べさせるんだ…」
「はい、なまえもよろしければどうぞ」
「善処します」
「お望みでしたら食べさせて差し上げますよ」
「考えておきます」
「そう言わず、どうぞ一口」
「また今度、答えは全部いいえです!!」

なんてどっかで聞いたセリフを口にしてミーノスの手に持たれたカップから距離を取った。あんなものを食べたら死ぬに違いない。何か変な臭いもしているし、そもそも瀝青っぽい食べ物ってなんだ。毒の間違いじゃないのか。


その時、書類を片手に部屋に入ってきたラダマンティスともう一人の男性にミーノスが笑みを浮かべて近寄った。

「お仕事お疲れ様です。さあアイアコス、どうぞ」
「なんだよ、それ!!どっかで見たことあるぞ!!」
「…コール・タールじゃないか?」
「私もそう思ったよ、ラダマンティス」

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