天気のいいある日のことだった。


「え、ええええ…!なになになに」
「リストリクション!!」
「うわっ、え?あれ?」

教皇宮、と呼ばれているらしい広い神殿のような建物の中を一人で散歩していたら、金髪のおにーさんと目があった…瞬間突然身体が動かなくなり、小脇に荷物のように抱えられた。一体この扱いはなんなのだろう、泣いてもいいのか?

「あのう…」
「侵入者の処罰は教皇が行う」
「ええええ、私侵入者だったの」

それは知らなかった…って、そんなのほほんとしている場合ではない。処罰ってなんだ?私罰せられるの?何もしていないのに、そんなのってあるのか!逃げたほうが良い…、気もしたが、何故か金縛りにあったかのように動かなくなってしまった身体ではそんなことは無理だった。なにこれどういうこと、まさかこのおにーさん幽霊?

「あの、もしかして幽霊だったり?」
「金縛りではない!!」
「うわあ、今の質問でよく分かったね!!」
「………」

そんなことを話していたら大きな扉の前にまで連れて行かれた。ここは知っている。この間沙織と邪武に連れて来られた…たしか、教皇の間という名前の場所だったはず。入口に立っていた兵士さんが私とおにーさんを見て目を丸くした。

「ミ、ミロ様!!そのお方は…!!」
「扉を開けろ!」
「は、しかし」
「侵入者だ、教皇に対処をお伺いする」
「ですから、そのお方は」
「早くしないか」
「おにーさん、人の話は…」

聞いたほうが良いですよ、という言葉は何故か焦っている兵士さんたちが扉を開けた音によってかき消された。相変わらず私は小脇に抱えられたままだ。兵士さんたちの憐憫の目を受けながら教皇の間に入る。助けてくれても良いのよー!と視線で訴えたが目をそらされてしまった。なんでだ。

「教皇!お話が」
「ミロか、良いところに…、…………なんだ、それは」
「なんだよ、お前の女か?」
「違う、どうしてお前はそんな考え方しかできないんだ、デスマスク!」

教皇の間に入った瞬間、目がちかちかとして瞼を閉じた。
もう一度開く。

うん、私の目がおかしくなったわけではないらしい。

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