朝食を作り、簡単に掃除して、プレゼントの確認をして。
そうして訪れた穏やかな休日の早朝に、ソファに沈んだ。

時計に視線をやれば、もう丁度いい時間だった。せっかくの休日なのだからとサガを起こさないように最新の注意を払って全ての準備をやってきたが、そろそろ良い時間だろう。ソファからのそりと起き上がり、サガの部屋に向かう。
ノックをした後に、そっと扉を開く。

きらきらと光るような日差しがカーテンからこぼれ、目を細めた。一筋の光は寝台に転がったサガの頬を明るく照らした。

「サガ」

眠る彼の肩に手を添えれば、サガの眉が寄った。私の前ではいつも穏やかな顔しかしないから、少し新鮮に思いながらも肩を揺らす。

「サガ、朝だよ」
「…、…おはよう、なまえ」

薄らと目を開けた彼が私を見るなり微笑んでそう言った。私も笑みと、おはようという言葉を返して跳ねた髪を整えてやる。

「サガ、今日はね、スクランブルエッグとサラダ、それからサンドイッチを作ったの。あと紅茶も淹れたよ!上手くできたかは保証しないけど」
「ありがとう」
「デザートはどうしようか?デッちゃんがいろいろ果物をくれたんだー」
「そうだな、二人で選ぼうか」
「うん!」

寝台から起き上がってシーツを整え始めたサガの背中に笑いかける。

「サガ」
「どうかしたか、なまえ」
「誕生日、おめでとう」

サガはその言葉にどこかはっとした様子で私を振り返った。おめでとう、ともう一度言えば、その表情は穏やかなものに変わる。


「ありがとう、なまえ」
「サガも、生まれて来てくれてありがとう」

出会えてよかったと笑えば、サガに抱き留められた。暖かくて、大きくて、そして彼のにおい。お祝いしてあげなきゃいけないのに、私ばっかりが泣きたくなるくらい幸せになって、なんだかひどく申し訳なかった。


(彼と過ごすだけで穏やかな日常が、泣きたくなるほど幸せな夢に変わる。)
(Happy birthday, my lover)

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