「ギャラクシアン・エクスプロージョン!!!」

吹き飛んだ雑兵を放り、さらに進み神殿にたどり着く。

石の巨大な扉を破壊して神殿へ駆けこんだ。
すぐに暖かな小宇宙を感じて、なまえがその場にいることを知った。

だが、何か様子がおかしい。

不特定多数の小宇宙が、彼女の小宇宙の周りに集まる。なまえの小宇宙はそれから必死に逃げているようだった。どうやら状況は良くないらしい。


「…なまえ!!」
「うわっ、サガっ!?」

廊下を駆け出してしばらく行くと、今にも泣きだしそうな顔で大勢の兵士から逃げるなまえと対面した。

私を見た瞬間顔を輝かせ、駆け寄ってきたなまえを抱き留めた。

兵士が私の腕の中の彼女に突きつけようとした槍を蹴り上げ、そのまま回し蹴りで兵士をなぎ倒す。しかし怯む様子も見せない彼らになまえを背後に押しやり拳を突き出した。

「うわっ」
「アナザーディメンション!!!」

異次元に吸い込まれて消えた雑兵を見送ったなまえがへろへろとしゃがみ込んで息をついた。

「し、死ぬかと思ったっ」
「なまえ、大丈夫だったか!」

傷だらけの彼女の前に膝をついて傷を見ていく。手も足も、顔にまで傷がついていた。切り傷、擦り傷、打撲、まったく一体何をしていたのかと頭を抱えたくなるのを必死に堪える。
慌てて治癒をしようとした私の手をなまえが抑えた。

「今は、良いよ」
「…無事、だったのか」
「うん、大丈夫だった。タナトスが、私を助けてくれたの」
「死の神が…?」

何故あの神がなまえを助けたのか。
いまいちそれが理解できなかったが、なまえがふいに間の抜ける微笑みを浮かべて首を傾げた。

「サガも、」
「私がどうかしたか」
「助けてくれてありがとう」
「……、」

そう言って笑ったなまえの頬を、摘まんで伸ばす。随分と伸びるそれに関心しているとなまえが必死に私の手を叩いた。

「ひゃひふふほ!」

言いたいことが多かった。
伝えたいことも、また。

まとめあげることなど到底できそうもないその情報量に一瞬黙り込んだのちに、なまえを見下ろして怒鳴りつける。

「…この…、馬鹿者!一人で飛び出すなど何を考えていた!!」
「っ」
「こうして生きていたから良かったものの、もし、何かあったら、私は…!!」

小さな手についた傷ごと手を握り締めた。暖かく小さな手、生きていると感じられる手。
だがもしものことを考えると情けなくも恐怖が心の奥底で渦巻いた。なまえの頬に手を添えて問いかける。


「何故、私に何も言ってくれなかったのだ」

なまえはそれに何も言わなかった。
黙って、ただ悲しそうな顔をして首を振るだけだった。

「私は頼りないか」
「…そんなことないよ。ごめんね」

その言葉と共に、ふいに強く抱きしめられる。頬に彼女の柔らかな髪が掠めた。

「助けに来てくれて、ありがとう」

彼女の温もりだった。

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