暗闇の中で頭が痛んで意識が浮上する。


「…う…っ」

目を開けて、自分が見覚えのない石造りの部屋に転がされていることに気が付いた。
なんだ、この状況。

「……?」
私は何をしていたのだったか。


のそりと起き上がろうとして手が引っかかった。そちらに視線を向ければご丁寧に縄で縛られた自分の手。

「…ああ」

そしてすぐに思い出して頭を抱えた。頭が痛む。
天界に話を聞いてもらおうとしたのだが、失敗してしまった。
ヘラ女神がアテナに手を出すようなことを言ったから、大暴れで抵抗して、…頭を殴られて昏倒させられたのだったか。

もしかして自分のしたことは状況を悪化させるようなことだったのではないだろうか。いや、きっとそうだ。

沙織やサガに顔向けができないな、なんて考えて深いため息をついた。

部屋を見渡す。手は縛られ壁に繋がっている。扉は一つ。窓は高いところに小さな穴が開いているだけだ。とても逃げ出すことはできなそうだった。

もう一度深いため息をつく。


(さて、どうしようかな)

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