「勝利の女神と、なまえは同一か?」

この間の自覚とはまた少し違ったその質問になまえは表情を真面目なものにする。

「…私は私だよ」

これからどうなるかはわからないけれど、今の私はなまえだといった彼女の言葉がすとんと胸に落ちた。

「では、勝利の女神となまえは別の存在として考えてもいいのか」
「サガ、勝利の女神って何?貴方が私に何を聞きたいのか、私にはよく分からないけれど、私も勝利の女神が何かわからないとその質問に答えは返せない」
「なまえは勝利の女神か」
「言ったでしょう、私は私だよ」
「そう、か」
「…サガ?」
「いいや、なんでもない。…ありがとう」

目の前の彼女の頭を撫でて、すぐに踵を返す。

「サガ?」
「話すことができて良かった」

顔だけ振り返りそう言った私になまえも微笑んだ。

「私も!」

その表情にまた微笑んで、その場を去る。
思考は全て勝利の女神となまえのこと。

なまえは、自分は自分だと言った。ならば、これから先どうなるかはわからないがともかく今はそういうことなのだろう。


ならば、恐らく私のこの気持ちも今現在の時点では何もおかしなことではないとこじつけることもできる。

私が愛したのは勝利の女神ではなく、なまえ。

答えはこんなにも単純で近くにあったのだ。


(あとはこの感情の行き場をどうするか、だ)

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