雨の音が響き続ける。ニケの姿はもう見えない。誰も通らない静かな柱廊でただ立ち尽くす。頭の中をぐるぐるとまわるのは彼女の言葉だった。



「…一人の、人間」



(その意味が、私にはよく分からなかった)



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