私は彼のように容姿が整っているわけでもないし、きちんとした信念を持っているわけでもないあやふやな人間だし、さらに言えば彼のようにしっかりしているわけでもない。

サガは大人っぽいし、けれど私はミロやカミュにも言われたように子供っぽい…、嫌だけれどそれは認めよう。

「……うん…」


こんな私と勝手に恋人だなんて思われたらサガは絶対に嫌がる…!!


それから、どうするだろう?噂の火消のために私と距離を置くだろうか。

けれど私が聖域で一番親しいのはサガだ。沙織のことは大好きだし、ほかの人たちもみんな優しいけれど、一番長い時間を接してきたのはサガだ。そんな彼から距離を置かれるのは、少し寂しい。


…いやいやいや、別に恋愛感情とかじゃなくて、友達がいなくなるのが悲しいっていう親愛感情なんだけれどね。そうだよ、私!

でも、もし仮にだ。もし仮に、沙織やミロの言うように恋愛感情だったとしたら?


…間違いなく私はフラれる。サガが私みたいなのに恋愛感情を抱くなんてありえな過ぎる。チャンチャラ可笑しくて臍で茶が湧きそうだ。
それはともかくサガは本当に素敵な人だと思う。優しくてしっかりしていて頼れて、微笑んだときの顔が可愛くて、そこまで考えて頬にぼっと熱が集まって慌ててその思考に区切りを切った。


これは友達に対する感情だろうか?まさか、


「いやいやいや…駄目でしょ、それは駄目だよ」

サガはあくまで友達!大事なお友達!!そういう相手ではないのだから、だから煩悩を走り去ってえええ!


「そう、そうだよ…!好きだけど、これは友達に対する好きで…」
「何がだ?」
「うひゃあっ!!」


突然背後から声がかかって飛び上る。

ものすごい速さで脈を打つ心臓が口から飛び出るかと思ったと振り向けば、同じように驚いた顔をしたサガが私を見ていた。慌てて目をそらした私に、サガが少し申し訳なさそうな声色で言った。

「お…、驚かせてしまったか?」
「う…ううん、考え事していたから…、大丈夫」


これはまずい、それまでの思考が悪いのかサガの目が見られない。

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