止めて止してからかわないでと怒鳴った私にミロは笑って、カミュは呆れたように息をついた。
「なんなの、みんなして!」
「日本でも二人で行動したんだろう。家にも二人で行ったとアテナが仰っていたぞ」
「沙織いいいい!!」
叫んだ私の肩をつかんだミロが、にやりと笑って言った。
「なまえ、本当のことを言っていけ。……サガとできているんだろう?」
「できてないっ!!」
こんな恋愛話が好きなんてミロは女子高生かと叫べば、カミュが鼻で笑ってミロを見る。
「女子高生のほうが幾分マシだ。年齢を考慮すればなおのこと」
「なんだよ、カミュ。それはどういうことだ」
「なんにせよ、大人の男の人は人の人間関係をあれこれ詮索しようとはしませんー」
からかうようにそう言えば、ミロは些か気分を害したのか顔を顰めた。失礼なことを言ってしまったかと慌てた瞬間ミロの大きな手が私の頭を掴んだ。
「俺より少し年上とはいえ大人ぶるのはあまり妙案ではないな、なまえ」
「な、なんで」
「なまえは子供のようだ」
「かっちーん」
「俺より」
「そんなこと…っ!」
「どちらもどちらだ」
「…カミュ…」
澄ました顔でこの話題に終止符を打ったカミュが宮の奥へと戻っていく。
コーヒーでも煎れるから暇なら飲んでいけばいいと言った彼に頷こうとしたときにミロが笑う。
「サガも呼ぶか?」
「…ッミロのおたんこなす!!」
「おたんこなすって何だ?」
「違うって言っているのに!」
分かってくれないミロはおたんこなすだと再度繰り返して宝瓶宮から駆け出した。外は晴天で、しばらく走った人通りの少ない十二宮の階段で立ち止まる。ミロが追いかけてきていないことを確認して息をついた。
なんたってあんな話ばかり私にふってくるのか。
頭をかいてもう一度ため息をつく。
サガのことは嫌いではない。
でも、もしサガがああいった話を聞いたらどう思うだろう?
嫌がる、と思う。
ううん、嫌がるに違いない。
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