「意味わかんない」
「意味は分かるだろう」

リビングのソファに二人して座りながらコントローラをいじくる。

簡単に言えばいい年をした男女ふたりでゲーム中、ゲームの種類はぷ○ぷよだ。
サガは最初頭の周りにクエッションマークを浮かべまくりながら連敗していたのに、ある時から急にコツをつかみ始めたのか今度は私が連敗し始めた。

「意味わかんない」
「意味は分かるだろう」

また同じ会話を繰り返す。あ、また私の負けだ。

「だー!強すぎ!さっきまでコントローラの使い方すら知らなかったのに!」
「このようなゲームは考えながらやれば良いということに気が付いただけだ」
「どうせ私は考えなしにやっていますよーだ」

ドヤ顔で言ったサガにそう言い返せば彼はすぐに焦りだして「そういう意味で言ったわけではない」と言い訳をする。その姿があまりにも可愛らしいものでつい噴き出せばサガが目を丸くした後に目を細めた。

「からかったのか?」
「ちがっ、でも怒っていたわけじゃないのに、サガがあまりにも必死だからおかしくて!ごめんごめん」
「では許そう」

ふざけているのか尊大な態度でそう言ったサガに私もふざけ返す。

「これは痛み入ります」

目を丸くしたサガが、私のその言葉に焦ったように首を振った瞬間電話が鳴った。私の携帯電話だ。

聖域は圏外だったし携帯なんていつも電源を切って部屋に放置していたから着信音を聞くのは久しぶりだ、なんて思いながら電話を取る。電話は沙織からで、迎えの車はどうやらあと三時間ほどで到着するらしい。まだ時間はあるなと考えながらそれに了承し電話を切った。

「あと三時間でお迎えくるって」
「そうか、ではまだ時間があるな」

何をしようかと言ったサガにゲーム機の電源を落として立ち上がる。

「散歩でもしようか、サガ」
「帽子とサングラスをつけてか?」
「…人通りの少ない道に行こう」

日本を(といっても、私の家の近所だが)案内しようと言った私に、彼は微笑んで立ち上がった。

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