「ななななな、なにをっ!何を言いだすの、ムウってば!!」

ぼんと熱くなった頬を押さえながら必死で手を振って否定を示す。それなのにムウはいかにも予想外といったふうに、あっけらかんとした顔で答えた。


「おや、違いましたか?」
「そんなつもりないって!そもそも私が相手じゃサガが可哀想だよ…」
「そうでしょうか、私は有りかと…」
「すとーっぷ!!恥ずかしいからこんな話は止めよう!?」

そもそも確かにサガはとても優しいし、格好いいし、でも私は決して恋愛感情を抱いているわけではないのだ。彼は友人であると思っている。

「いつも一緒にいるので、てっきりもう恋人になっているのかと」

それ以上言うのはやめてええええ!!


サガは頼れる友人頼れる友人頼れる友人!!私みたいな可愛げも女らしさもない女が好きになったらサガからしたら迷惑だろうし、そもそもの話釣り合わないだろう。

サガには女官さんとか巫女さんみたいに美人で女らしくてしっかりした人がぴったりだ。
だからこんな話自体が彼にとってひどく失礼で、えっとあれ、あとなんだっけ、ともかく違うのだ、私と彼はそういうのではない。


あれ、

でも確かに私はここ最近毎日彼と一緒にいる…?

恋愛感情とかではないはず…だけれどそれでもサガの傍にいると安心するし、一緒に過ごすのは楽しいし、あれ?違うって、私!これは友人に対する親愛、だから恋愛じゃないんだってば!あれ、じゃあ恋愛感情ってどんなだったけ?ドキドキして(サガといるときはドキドキしない、はず!楽しいけれど)

胸のあたりがほんわかして(…ほんわか、)

一緒にいると楽しくて(楽しくて)


自然と笑顔に、

「うわー!!」

突然頭を抱えて叫んだ私にムウがびくりとして振り向いた。そのムウと目があった瞬間に彼の肩をがっしりと掴んで「この話は止めよう!!」と叫ぶように言えば、何かを察してくれたらしいムウはそれ以上何も言うことなく頷いた。

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