「こんにちはっ、デッちゃん!ご飯作ろう!」
「デスマスク、飯!!」
「お前らな…」

巨蟹宮にミロと一緒に飛び込めば、扉の前で仁王立ちしていたデッちゃんが顔を引きつらせた。

「そろそろ来るだろうと思っていたが…」
「やだ、ミロ、私たち期待されていたみたい」
「そのようだな、なまえ、やはり期待には応えねばならんだろう」
「よっ、男前な心意気っ!」
「フッ、もっと褒めろ!」
「話を聞け!!」
「あいたぁ!!」

ゴツンの容赦のない拳骨が振り下ろされて地面に倒れ込みながら頭を抱える。涙目になりながらデッちゃんを見上げれば、彼は思い切り顔を顰めて私の頭を踏んづけたものだからすぐに私の視界は大理石の床でいっぱいになる。

「いたたたたっ、頭潰れる、死にますッ」
「ああ死ね」
「ひどっ」

ばっしばっしと足を叩けば、ようやく足をどかしてくれたデッちゃんに少し安心して起き上がる。髪の毛もばっさんばっさんだよと思ったときにミロと目があって笑いかけられた。

「俺と同じような髪型になったな」
「え、本当?」

おそろーい!と言いながら二人でハイタッチを決めれば、後ろで見ていたデッちゃんが深いため息をついて短く「入れ」とだけ言った。そうして扉を開けたまま奥に入っていった彼の背中を追いかける。

「お邪魔します!あのね、デッちゃん、今日は私おやつにホットケーキ作ってきたんだよ!なんかドーナツみたいだけど」
「うわっ、揚げパンか?」
「違う、ホットケーキ!」
「油の使いすぎだ、馬鹿女」

私からお皿を受け取ったデッちゃんがそう言って机の上に置いた。そして台所へ入っていく彼のあとを追う。

「手伝うー」
「お前の場合邪魔をするの間違いだろうが」
「悪気はないんだよ」
「なお悪いだろ」

そう言ってフライパンやらを出していくデッちゃんに肩を落とす。確かに私は料理が下手すぎていつも余計な仕事を増やしてばかりの気がする。これでも頑張っているんだけど、やはり料理は不向きらしい。それでもはっきりと言われるとショックである。くそう、絶対に練習しまくっていつかデッちゃんに吠え面かかせてやる!

「おい、何突っ立っているんだよ」
「え?」
「邪魔するんだろうが」
「…いいの?」
「お前がやるって言ったんだろ、黙って卵でも割っていろ」
「…うん!割る!永遠と割る!!」
「ふざけんな、馬鹿女!」


(今日のお昼ご飯はフリッタータと卵焼きとサラダ、それからホットケーキという名の揚げパン)

3/5