「…はっ!!こういうことかあああ!!!」
「ど、どういうことですか、なまえ!?」

突然机をたたきつけて立ち上がった私に沙織がびくっと椅子から飛び上る。まだどきどきしているのか胸の前で手を組みながら、目を丸くしてこちらを見た沙織に机に手をついて熱弁する。

「冥界にテレビなかった理由!あれ地デジ化のせいじゃない!?」
「はい?」
「地上デジタル!地上ということは地下の世界の冥界はアウト!つまりテレビが使えないから置いてないってこと!」
「…そう言う問題ではないと思いますが」

熱く語った私に呆れたような顔をした沙織がふうと息をついて座り直す。そして紅茶をカップに注ぐと優雅に笑った。

「そう言えば聖域にもテレビないね?」
「ここには電気など通っていませんし、それに必要ないですから」
「うん、確かに」

よくよく考えてみれば、電話もテレビもパソコンも必要のない生活を行っている。至って原始的なのだがそれでも困らないのはやはり人との繋がりが深かったり誰もが親切だったりするからだろうか。それになんだか健康的な生活が行えているしと私も笑って紅茶に口をつける。

「あ、沙織!」

すぐに微笑みを浮かべたままこちらを振り返った沙織に私も笑う。彼女の背後の窓に真っ青な空が見えて気分が高揚した。

「天気も良いし、散歩に行こう!」

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