「なまえ?」

その時突然、眼の前に青が広がって目を丸くする。だがそれがすぐに顔を覗き込んできたサガの目だということに気が付いて安心させようと笑みを浮かべた。

「あ、ううん…、なんでもない」
「そうか…?」
「うん、平気、行こう」

そうして二人で十二宮の階段に足をかけた。
もう遅い時間だしみんなは眠っているのかもしれないと思ったが、ムウやアルデバランは起きていた。次はサガの宮だね、なんて話しながら階段を上る。胸の中のもやもやは消えないままだ。ブレスレットの正体。


ブレスレット、青、青い宝石、青…


確実に私はこれを知っているはずなんだ、

そう思った瞬間、頭の中でひらめくものがあった。

「ああっそうだ!!思い出した!!」
「なに?」

突然声を上げた私にサガが立ち止まって振り返った。

「このブレスレット、どこかで見たと思ったら…」

このブレスレット、この間のニケ神殿の中で見た蒼いネックレスによく似ているんだ。

あのネックレスは神殿の中に放置されたままだと思う。ともかく手元にはないから正確なことは分からないが色や見た目がよく似ている。細かい装飾が違う気がするから恐らくセットではないのだろうけど同じ宝石を使っているのではないだろうか。そう考えて納得する。

どこかで見たことがある気がしたわけだ。


(けれど、それじゃ私が押し付けたってどういうことだろう?)
(答えは結局分からなかった)

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