「………」
「………」
「………」
「………」

ひゅうと冷たい風が吹いて髪が靡く。
その際髪が目に入りそうになったのだが、眼の前のお二人が恐ろしすぎて目を瞑るなんてことができなかった。たぶん、あれだ、目を離したら、即座に殺られる……!!!

「…っ!あいたぁ!!髪が目に!!」
「なまえっ!?」
大丈夫かというサガの優しい声を聞きながら頷いて目をこすった。
畜生、目に髪が入った。すぐに取れて良かったと目元を手で押さえながら目の前の威圧感たっぷりなお二人を見上げた。

うん、身長が高いのもあれだけど、一番恐ろしいのは眉の間の渓谷のような皺だよね、それから見下すのと睨むのを同時にやられているから怖いんだよね、


「さっそく泣きそう、ていうか怖すぎて心臓止まって死にそう。サガ、私のお墓は日本の先祖代々の墓に…」
「なまえ、しっかりしてくれ」
そう言うサガの言葉になんとか頷いて頑張ろうとするが、何も言葉が出てこない。あれ?私何しにここに来たんだっけ?睨まれるため?あれ?違うよね?やばいぞ、混乱しすぎて何をしにここに来たのかいまいちよく分からなくなってきたと地面を睨みながら考えているとサガが私の前に立った。


「聖域より冥王ハーデスに召喚された。冥王との謁見を望む」
「ふん、勝利の女神が来ると言われたから見に来たものの、これが女神だと?」


銀髪のおにーさんがそう言って私を見て、そして「ちんちくりんめ」と言った。それにサガの小宇宙が一瞬で激しく燃える。
「無礼な!アテナ女神の従神ニケに対してなんという物言い!」
「退け、人間に興味はない」
「退かぬ、女神に対する無礼を訂正して頂こう」

そう言って銀髪のおにーさんと睨みあい始めたサガに慌てて掴みかかる。

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