「なまえ…、なまえ!!」
「…、…?」

強く肩をゆすられて重い瞼をあげた。頬にかかる金髪がくすぐったいと思っていると心配げに覗き込んでくる青い目と視線が絡んだ。それがひどく懐かしく感じて口元が上がる。「―――?」「なんだ、なまえ…?」、自然と口から紡がれたのは私の知らない男性の名前でサガが少し困ったような顔で私を見た。

それを不思議に思っているとやがて意識がはっきりしてくる。私は今誰を呼んだ?私は何をしていた?私は、

「…私、?」
「倒れていた。覚えていないのか。小宇宙を通じて私に助けを求めただろう」

いつの間に小宇宙を使えるようになっていたのだといったサガに首を傾げる。
助けを、求めただろうか?私が、小宇宙を使って、

そういえば、気絶する直前に彼に助けてほしいと強く願った、気がする。

「来て、くれたの」
「ああ」
「…ありがとう、サガ」
「…どういうことだ?外から施錠されていた。なまえ、ここで何をしていた?ここの立ち入りは禁止されている。それに、その傷は…」
「…ごめん、サガ、私なんだかひどく眠くて」

そう言葉を絞り出せば、サガは少しだけ困ったような顔をしたがすぐに頷いて眠れといった。それを聞くや否や私の意識はぱたりと暗闇に落ちる。


(目を閉じる瞬間、彼の金髪以外にもう一つ、さらりと伸びた金髪が見えた、気がした)

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