あの日から四日。もう明日は予行、明後日は祭典の本番だ。

この四日間は実に地獄の猛特訓の日々だった。失敗すれば蹴りをいれられ、テンポが遅れれば拳骨、そして総評価が低ければプロレス技をかけられた。そうしてこってりとデッちゃんに絞られ、スパルタ授業に耐えきった私であったが昨日の帰り際、今の私にとって死刑宣告に等しい提案を受けた。

今日は、デッちゃんの代わりにサガが来る、という話だ。

デッちゃんは今日シチリアに行かなければならない用事があるらしい。恋人かと興奮したら拳骨を食らった。…と、それはさておき、つまり今日はサガが来る、のだ。舞に関しては練習を重ね、完璧とまではいかないが、もうミスもほとんどしなくなったし、それなりに見られるものにはなったと思う。だから、問題はそこではない。今日、来るのは、あの時間や約束事に正確どころが厳格なサガ。


そんな彼との待ち合わせ時間は、9時に白羊宮先の競技場、だ。
そして、現在の時刻、10時10分前、現在地教皇宮、


朝起きた、寝坊した、急いで着替えて出かけなきゃ!

あの陽気な音楽に乗せた絶望的な替え歌が、もう一度頭をよぎる。


「…死んだ、いや殺されるに違いないよ、これは」

一瞬だけ頭の中が真っ白になったが、自分に鞭打ち、準備を始める。
時間を守らなかった刑で火時計に逆さ吊りにされて殺されるんだわとあわてて服を選ぼうとしたが選ぶ時間ももったいない。ああもうジャージでいいやとジャージに着替え、顔を洗い、髪の毛を梳かして部屋を飛び出す。恐らく一般人の中では最高速の記録を残せたのではないか、と考えてしまうほどの速さで十二宮を駆け下りる。途中スピードが付きすぎて足が回らず転んだが、めげている場合じゃないとさらにダッシュをした。

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