私は幸せ者だと思う。自分では、世界で一番幸せだと思っているのだが、どうだろうか。

あれからアイオロスさんは、前よりもっともっと優しくなった。もっとたくさん笑うようになった。それから、さらに元気になったと思う。

毎日が、きらきらと光っているように思えて、幸せすぎて、時々怖くなるくらいだ。一度だけ、それを言ったらアイオロスさんは目を丸くした後、すぐに笑った。そして、それは自分も一緒だとそう言ったのだ。それなら、それも幸せの一つだろうか、なんて。

誰もが、私たちを祝福してくれた。それはきっと幸せなことだと思う。ただ、サガさんに大号泣されて抱きしめられた時は驚いたけど。あの人は本当に涙もろいと思う。でも、それも彼の魅力の一つだろうか。
黄金聖闘士の皆さんだけでなく、冥界の皆も祝ってくれた。いつの間にか全員集まって宴会騒ぎになったのを微笑んでみていた沙織ちゃんにありがとうといった言葉は、彼女に届いただろうか。

デスマスクさんは、黄金聖闘士の皆さんと一緒に大きな大きなケーキを作ってくれた。ミーノスさんは初めての共同作業なんて、恥ずかしいだけの台詞を吐いてくれた。アフロディーテさんは、私にとても大きな薔薇のブーケをくれて、それとは別に、小さなブーケを渡してくれた。私はそれを投げ、そしてそれをキャッチしたのは、サガさんだった。皆は何故か爆笑していたけれど、彼にも早く、幸せがくるといいなと私は願う。沙織ちゃんとハーデスさんは、私にとても綺麗なネックレスをくれた。物だけではない。誰もが私たちにおめでとうと祝福の言葉をくれたのだ。私は、自分が幸せ者だと信じて疑わない。



ああ、そういえば、あの日、とてもとても穏やかな風に頬を撫ぜられた気がしたのだ。それは私の気のせいだったのかもしれないが、もしかして、世界はまだ、私を見守ってくれているのだろうか、なんて思ったりもして。


「なまえ、行こう」
「はい、アイオロスさん!」


彼の大きな手を取る。

アイオロスさんが駆けだした。私も、続いて駆けだす。

白い石畳はずっと、地平線の果てのどこまでも続いている。振り返ったアイオロスさんが笑った。私も笑う。ふわりと穏やかな風が吹いた。

「なまえ」
「なんですか、アイオロスさん」
「好きだ、大好きだよ」
「わ、私もです!」

楽しいことばかりじゃなくて、つらいことや大変なこともあった。きっとこれからもそうなのだと思う。でも、私にはアイオロスさんがいるから、きっと何が起きても大丈夫だ。これからも一緒に楽しい日々を作っていける、作っていきたいと私は思う。一年前は想像もつかなかった日々だけど、私には、それが何よりも大切なのだ。アイオロスさんが笑って、私が笑う。こんなにもおだやかな日々を、私たちは手に入れたのだから!


どこまでも澄みきった空から降り注ぐ日差しが、きらりと指輪を輝かせる。空は真っ青に晴れていた。そこに舞いあげられた薔薇の花弁がすごく綺麗だったのを、きっと私は一生忘れないだろう。





「大好き!」



ねえ、
私は今幸せです。





Love Love Love!!
(この愛おしい世界に祝福を!)



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長編アンティゴネからここまで約10カ月・・・!
途中グダグダになったり亀更新になったりしましたが、ここまでお付き合いくださり本当にありがとうございました!!読んでくれた方にも愛を!






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