何故だか今日は異様に任務報告書やらなんやらとやらねばならないことが多かった。どうやらそれはなまえも同じのようで、彼女はファイルを抱えたり、古書を持ち出したりと実に忙しそうに執務室を駆け回る。ふと、彼女と目があった。 「あ…、コーヒーとか…」 「いや、大丈夫だ。ありがとう。なまえこそ休憩はいらないのか」 そう言った瞬間珍しく大人しく報告書を書き上げていたアイオロスが顔を上げた。 「なまえ、つかれたから一緒にきゅう…」 「どうぞ、オロ〇ミンCです」 なまえは何故かポケットから瓶を取り出してアイオロスの机の上に置く。いや、それはおかしい。何故ポケットからそんなものがでてくるのだと考えている間に彼女はさらに飴を追加してみせた。彼女のそれはあの某猫型ロボットの持つ四次元のポケットなのか?いや、それにしてもポケットからオ○ナミンC…。 そんな私の思考をよそに、なまえは私たちを気にすることなくファイルに何か書き入れ始めたが、恐らく彼女と休憩がしたいらしいアイオロスはしぶとく構い続ける。 「なまえ」 「なんですか、アイオロスさん。お茶ですか、軽食ですか、資料ですか?」 「かまっ…」 「仕事をしてからにして下さい。あ、サガさん、ここにハンコお願いします」 「私に対する扱いが杜撰じゃないか、なまえ!!」 「気のせいです」 騒ぐ昔馴染みをさらりと一蹴したなまえがこちらを見る。 「どうかしましたか、サガさん?」 「いや…、あれがまるで大きな幼児のようだと思って」 「サガ、聞こえているぞ」 「でも優しいし、アイオロスさんは良い人ですよ。仕事はさせて欲しいですけど」 なまえが目をぱちぱちとさせながらそう言うとアイオロスは前半は顔がだらし無く緩んだくせに、後半部分に何故か撃沈した。 「なまえは私より仕事が良いと言うのかい!!」 全くどこのドラマの女だ。呆れたような私となまえの視線に気づかずに騒ぐアイオロスに、とうとうなまえはスルーすることに決めたらしい。 少し距離をとって書類にハンコを押しはじめた彼女に奴が声をあげた。 「ひどいぞ、ハニー!!」 「はいはい、ごめんなさいね、ダーリン」 「………っ!!!」 なまえのその言葉の調子はいかにもどうでもよさ気で全く感情が篭っておらず、それを表すかのように彼女の視線は書類に注がれている。だが、アイオロスには十分だったらしい。大人しく席に戻った奴は締まりのない顔で私を見た。 「聞いたか、サガ。なまえが私にダーリンだって。羨ましいだろう」 「ああ、お前の茶番に付き合わされるなまえが不憫で仕方がないな」 構ってあげられないので出血大サービスです (…なまえ、耳が赤いが?) (え、え?き、気のせいですよ、サガさん!!) |