ばさっと音がした。

めまいがする。

目の前をどさどさと音を立てて落ちて行く白い粒は、それはもう中世ヨーロッパでは非常に価値の高かった・・・、いや、そんな話はどうでもいい。ともかく惜しみなく投入されるその粒は砂糖だった。なんてことを!砂糖は、本当に重要なもので、近世ヨーロッパでは砂糖革命なるものまで起きているんだぞ!それを、そんな・・・!

「緑茶に大量に入れるなんて・・・!!」
「普通だろう」
「普通じゃないですよ!!緑茶に砂糖は入れませんから!!」

けろりとした顔で、尚も砂糖を入れ続けるシュラさんの手から砂糖を奪い取る。そもそも彼の場合、緑茶と砂糖の比率がおかしかった。緑茶:砂糖=4:6だった。もうそれなら砂糖を舐めていれば良いじゃないといいたくなるほどには砂糖の量が多かった。

「紅茶にも砂糖を淹れる」
「それはカロリー・・・いや、とにかく紅茶と緑茶は違うんです。ていうか砂糖入れ過ぎです。糖尿病になりますよ」
「なまえ、シュラにそれを言っても駄目だぞ」
「アイオロスさん」

部屋に入ってきたサガさんとアイオロスさんが笑った。

「シュラはチョコレートにチュロスを突っ込んで食べるからな」
「ホットチョコレートも好きだよな。というか甘いもの全般」
「スペインでは朝食にも甘いものをとるから」
「へえ・・・、でも砂糖の使いすぎは糖尿病に注意ですよ」
「分かった。・・・なまえ」
「なんですか?」
「あとスプーン一杯・・・」
「もう十分入っているじゃないですか!見てください、これ!下のほう砂糖が沈殿してますよ!!」

溶け切っていないそれを指させば目を反らされる。そもそもわたしとしては緑茶にここまで砂糖を淹れるのが理解できないなと思ったが、この間アテネに下りた時砂糖の大量に投入されたリ○トンの緑茶が販売されていたのを見た。案外欧米の人は緑茶にも砂糖をいれるのかもしれない。

「いや、それにしても砂糖入れ過ぎです」
「俺にとって砂糖は重要なものだ。女神の次くらいに重要だ」
「いや、どんだけ砂糖重要なんですか。おかしくないですか、その基準」
「私はなまえがだい・・・」
「ややこしくなるので貴方は余計なことを言わないで下さい!!」
「余計なことじゃない、大事なことだ!!なまえは私にとって…」
「って、あ!シュラさん、まだ砂糖をいれるつもりですか!!もう貴方緑茶飲むの止めたらどうです!?」




砂糖戦争
(カップの底に砂糖が一センチ沈殿)


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さすがに「女神の次くらいに重要」はスペインジョークだと思います。留学生のスペイン人の子が砂糖を使いまくるのを見てシュラで妄想←







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