「遺憾の意」 「私のせいなのかい?」 心なしか少しやつれた表情のなまえは、私と顔を合わせるなりそう呟いた。 「わ、私は誰にも・・・!け、結婚、とか言っていません!!それなのに朝、起きたら・・・」 血相を変えた黄金に追いかけまわされる、さらにはニケを手にした沙織ちゃんにまで何故か追いかけられたとなまえはげんなりとした様子で呟いた。 「私の体力で、あの人たちから逃げ回るのがどれだけ大変なことか分かりますか、アイオロスさん!!」 「逃げる必要はないだろう?」 話くらい聞いてやれば、大した用事でもなかったかもしれないと言えば、彼女は私をきっと見た。 「あの恐ろしい形相で追いかけられたら誰だって逃げますよ!!」 「ああ・・・」 確かにあのメンバー全員に突然追いかけられたら私も逃げ出すかもしれないと考えて笑った。なるほど以前なまえが私たちに狙われた悪が少しばかり不憫だと言っていたのを思い出す。確かに敵には回したくないメンバーではあるのは同意しよう。 「しっ、しかも!!話が何故か盛大に大きくなっていて、さっき星矢君たちに会ったら、いつ子供は生まれるんだとか訳の分からないことまで言われたんですよ!!誤解を解くのにどれだけ時間がかかったか!!話に尾ひれがつきすぎですよ!一体あなたは皆さんに何を話したんですか!」 ぷりぷりと怒るなまえに後ろから抱きつけば、彼女は怒ったままの顔で振り返った。 「なんですか」 「なまえは、そんなに私と結婚するのは嫌なのかい?」 「ち、ちが・・・!そういうわけじゃなくてですね」 「じゃあ、結婚したい?」 「・・・そ、それは、ですね・・・」 顔を真赤にして俯いてしまったなまえを抱きしめる力を強める。ああ、耳まで真っ赤になった。 そういえば、赤面症だと言っていたなと見下ろしていると、なまえが顔を上げた。 「好きなんですから当然です!!!」 「・・・・!!!!」 そう叫ぶなり、彼女は私を押しのけて、教皇宮のほうへと走って行ってしまった。後に残された私は一人、それを追うこともできずにただ茫然と突っ立っていることしかできなかった。 不意をつかれて致命傷 (ムウ、アイオロスが固まって動かないのだが、メドゥーサの顔でも見たのか?) (まさか。なまえ関係でしょう) |