「バイアン」
「…なんだ?」
「俺、生きてる?」
「俺も尋ねたい。俺は無事か?」
「ああ、無事だ」
「お前も生きているぞ」
「………」
「………」
「…良かった!!」
「ああ、本当だ!!死ぬかと思った!」
「殴られた時、走馬灯が見えた気がした。そうでなくとも俺なんてずっと三途の川が目の前に見えていたぞ」
「俺も。海龍の奴、今にも殺してやるっていう目で睨むからてっきり今日が俺の命日かと…」
「何でなまえは俺たちの間に座ったんだ…、いつもは海龍の隣だろ?」
「そりゃなまえだってそこに座りたかっただろうが、今日は席がもう埋まっていたから」
「海龍もさ、子供だよな」
「そうだな、あの顔はなんで自分がこんなに不愉快なのか分かっていないって顔だったぜ」
「それなのに俺たちをあんなに睨むんだ」
「死ぬかと思った」
「死ぬかと思ったな」
「生きていて良かったぜ」
「なまえがカノンに駆け寄った瞬間、表情が緩んだの見たか?」
「ああ、見た」
「子供だよな」
「子供だな」
「でもさ」
「ああ」
「なんだかんだ言ってお互い好きなんだよな」
「青春だな」
「おい、海龍の歳を考えろよ、青春なんて歳じゃないぜ」
「イオ、そんなこと聞かれたら今度こそ確実に冥界行の片道切符を強制的に売られるぞ」
「あー、くわばらくわばら」
(おわり)
[
back]