月の綺麗な夜だった。


「えっと・・・?し、失礼しました。間違えました」

双児宮のプライベートルームの扉が重々しい音で閉じられた。

閉じたのはもちろん私なのだが、プライベートルームの中から漏れる光が遮断され暗くなった宮内で首を傾げる。
部屋を間違えるだなんてことがあるだろうか。否、そもそもここにはサガさんとカノンさんしか住んでいないはずだから、それはない。

・・・のだが、


「あれー・・・?」

じゃあ、今ここにいた二人は誰だ?見知らぬ双子の少年がこんな場所にいるはずないじゃないか、私のばか!
なんだなんだ、私が疲れているのか?ああ、きっとそうだ。そうに違いない。よし、じゃあもう一度。

「失礼します、サガさん、カノンさん。遅れてすみませんでした」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・いや、やっぱり間違えました。本当ご迷惑おかけしてすみません」

そういって、再び扉を閉じようとした私の腕を掴んだ少年と目があう。

「え、ちょ・・・、か、顔色悪いけど、大丈夫!?具合悪いならお薬持ってこようか?」
「あ、あの・・・!今見たことは黙っていてもらえないだろうか・・・!」
「おいサガ、やめろ!」
「わ、私が我儘を言っただけで、こいつは何も悪くないから・・・っ」
「サガ!!」
「・・・サ、サガ?え?サガさん?」

目の前で顔色がものすごい悪い少年と、彼にそっくりだけど眉を極限まで寄せて不機嫌をあらわにする少年。どこからどう見ても双子だ。サガさんとカノンさんに似ている。・・・いやいや、まさか。だって小さいし。身長私と同じくらいだし。

「・・・そうだよ、まさかこの子たちがサガさんとカノンさんだなんて、私が疲れているだけだね、うん」
「え」
「な、なんでお前俺の名前を知っているんだよ!!」
「・・・・、はい?」
「おいカノン!・・・っ!」

彼の名前を叫んで、しまったとばかりに口に手を当てて私を見るサガ、さんとカノンさん?この私と同じくらいの身長の少年たちが?どこからどうみてもまだ子供の彼らが?

「え、・・・えー?」

神様、


私はどうやら今、とんでも体験をしているようです。アーメン。












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