ちゅん、と窓の縁に止まった雀が鳴いた。この雀も毎朝の餌付け効果のおかげかすっかり慣れたもので、今も私の肩に止まって与えたパン屑を啄ばんでいる。ああ、可愛いなぁ。本当に可愛い。よし、スズメン棒と名付けよう。よしよしお前は可愛いね、スズメン棒と喉を撫でてやる。だが、沙織ちゃんの質問に私が答えた瞬間、星矢君が盛大に吹きだした。

「ぶっはっ!!げほっ・・・!!」
「あ・・・」

星矢君のたてた音に驚いたのか飛んで行ってしまったスズメン棒を見送る。それを見ていた沙織ちゃんが溜め息をついた。

「・・・星矢」
「汚いよ、星矢君」

オレンジジュースを吹きだした星矢君の口元をハンカチで拭いてやる。瞬君がそれを見て笑い、紫龍君が溜め息をついた。氷河君は相変わらずクールだ。そんな青銅君たちを見て、沙織ちゃんが頬に手を添えて笑った。だがすぐに、その視線は私に向けられる。

「ところで、なまえさん!今の話は本当なのですか?サガと結婚するだなんて」
「いや、まだ結婚は・・・」

話が飛び過ぎだと言えば、彼女はくすくすと笑った。星矢君は鼻にオレンジジュースが入ったのか涙目で鼻をつまんで私を見た。

「あのサガが?俺、信じられない」
「まあ、サガも良い年だからな」

肩を竦める星矢君に紫龍君が笑みを見せた。氷河君と瞬君はただ笑みを浮かべているだけだった。その中で妙に異質なほどに興奮している沙織ちゃんが私の肩を掴む。その勢いに少し後ずさったのはここだけの秘密だ。

「それで、どこまでいったのですか、なまえさん!A?B?C?」
「さ、沙織さんが怖いぜ!」
「き、キス!」
「な・・・!なんて汚れ無きお付き合い!それなのにいきなり同棲なのですか!!」
「い、いや・・・あの双児宮の女官室に移るだけだから、別に、何も」
「いえ、サガだって大人の男・・・!なまえさんも気をつけないと食べられてしまいますわ!」
「処女神としてその発言はどうなんだ、沙織さん・・・」
「おい、お前ら座ってジュースなんで飲んでないで手伝え!!」
「ああ、はいはい、すみません。すぐ行きます」

扉から顔を覗かせたデスマスクさんが声を上げる。タオルなんか頭に巻いちゃって、まるで工事現場のおにーさんだ、なんて考えながらも彼の手から荷物を受け取る。どうせ大した荷物はないのだが、それでも一応洋服や本は双児宮に移動させてもらうため、わざわざ手伝いに来てくれた彼にお礼を言えば、頭をわしわしと撫でられた。

「別に双児宮じゃなくて、俺の宮に来ても良いんだぜ」
「あは、それイタリアンジョークですか?」
「お前・・・」
「なまえ!これも持って行っていいのかい?」
「あ、お願いします、アフロディーテさん」

シャツの入った段ボールを片手に抱えて手を振ってきたアフロディーテさんに手を振り返して、私も荷物を持ち上げる。沙織ちゃんがぱたぱたと歩み寄ってきて笑った。







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