まだ初夏だと言うのに、白羊宮の前はすでに散った落ち葉でいっぱいだった。
なんでだ。なんでこの季節に落ち葉がこんもりと溜まっているのだと一瞬首を傾げながらも、掃除をする。

あっという間に山になったそれに、焼き芋とかできるんじゃないかと季節違いのことを考える。
・・・うん季節ちがいだよね、でも捨てがたい。季節的に紫芋はないだろうから、ジャガイモを使ってやってみようか。そういえば、アルデバランさんがたくさんジャガイモを買ってきていたな、と考えた時背後から可愛らしい声がかかった。


「あの、教皇宮へ行きたいのですが、こちらを通っても大丈夫ですか?」


振り返ったそこには、金髪の可愛らしい少女が小首を傾げて立っていた。可憐なその雰囲気に思わず私は頷いて道をどく。

だが、ロドリオ村にもこんな少女はいなかったはずだと考えて、勝手に十二宮へ通してしまっても良いのだろうかと考えて固まる。だが、少女はどこにも敵意などなさそうだし、そもそも駄目なのならばムウさんからなにかあるだろうと勝手に納得する。

「えーと、何か御用ですか?」
「申し遅れました。私は人魚姫のテティスと申します」
「テティスちゃん。私はなまえです」
「海界からの使者として派遣されたのですが、・・・その・・・、はぐれてしまいまして」
「お仲間さんから?」
「・・・はい」

それは困ったことだろうと通してあげようとして再び固まる。

「海界?」
「・・・?海界です」
「まさか、カノンさんがいつも行っている、あの空が海っていう場所の海界ですか!」
「ええ、そうです。カノン様にはいつもお世話になっております」

不思議そうな顔で頷いた少女を見つめる。そうか、彼女も海から来たのか。いいなぁ、実は海界はカノンさんの話を聞いて以来、密かに気になっている場所なのだ。だって空が海って・・・!絶対に綺麗に違いない。

いいな、いいなと考えて、良いことを思いついて私は彼女の手を取る。

「途中までご案内しましょうか?」

そうしたら、途中でその海界の話が聞ける!という自己中極まりない考えだったのだが、テティスちゃんは快く微笑んで頷いてくれた。

「それでは、よろしくお願いします、なまえ」










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