ぼんやりと薄暗い天井を見上げる。
太陽が沈んだ直後の部屋は、薄暗く灰色に満たされていた。

強い雨が窓を叩く。
ふと目をやれば、恐らく灰色の空が広がっているのだろうが、太陽が沈んで久しいためそれを見ることは叶わなかった。

「・・・」

少し、眠っていたらしい。

柔らかな寝台に転がりながら何度か瞬きをする。

頭が痛い。
ついでに瞼も重い。もしかしてはれているのだろうか。あとで、氷で冷やしておかないと、明日悲惨なことになる。

ああ、でもなんだか面倒くさいな。
今は何もしたくない気分だ。もうひと眠りしてしまおうか。ああ、それがいい。そうすれば、何も考えずにすむのだし、幾分気も楽になるだろう。そう思って目を瞑った。


そんな時、控え目にノックをされる。

「・・・・・?」

もぞりとベットから起き上がり扉を見つめる。
しばらく沈黙をしていると、もう一度ノックがされた。

たぶん、几帳面なリズム感と控えめなそれはサガさんの手によるものだろう。
いつもなら即座に開けたいところだが、今は彼に会いたくない。

あんな形で教皇の間を飛び出してきてしまったのも理由の一つだが、それ以上に今は、一人で、考える時間が欲しい。



一人で考えたところで何も解決しないと言うことくらい私も分かっている。

でも、今はサガさんに会う気分にはなれなかった。

「・・・なまえ、眠ってしまったか?」
「・・・・」

だというのに、彼の低い声を聞くと自分の気持ちが揺らぐのを感じて私は小さく息をついた。



「・・・私は今留守です」


結局私には彼を無視することなどできないのに、つまらぬ意地が邪魔をして意味の分からないことを吐きだす。
その言葉に扉の向こうでサガさんが一瞬沈黙したのが分かったが、すぐに穏やかな声が続いた。

「・・・そうか。ならばこれから私が言うことは全て、私の独り言だから聞き流してくれて構わん」
「・・・」
「聞いてくれなくても良い。言い訳ぐるしい言葉になってしまうが、口に出すことをどうか許してくれ」


私は、その言葉に、黙って目を瞑った。










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