「・・・すまない、アテナ」 「いいえ、パンドラ。貴女は何も悪くはありませんよ」 「いや、あれは私の発案だった」 そう言ってミーノスに視線をやったパンドラは、眉を寄せたまま目を伏せた。 「いいえ、面白がってそれに乗ったのは私です」 あまりにも潔癖なお付き合いしかしない彼らを無理やりにでもくっつけようとミーノスの技を使って触れさせようとしたのだが、完全に裏目に出てしまった。 私は結局なまえさんを傷つけ、そして二人の関係に亀裂を入れてしまったのだ。謝ってどうにかなる問題ではないのは確かだが、後で彼女の部屋を訪ねてわけを話し謝ろうと決意する。 サガは、今頃なまえさんの部屋についたころだろうか。ああ、どうか二人が和解してくれるだろうことを祈りながら、騒がしく明るすぎる教皇の間を眺めた。 座るように指示して、ようやく隣に立った座ったパンドラは、どこか居心地が悪そうにそわそわとしている。 本当はすぐにでも、飛び出してしまったなまえさんのところへ行きたいのだろう。だが、先程彼女を追いかけたサガのことを考えてか、ここに残ることを決めたらしい。 「・・・なぜあんな男がなまえと」 「あんな、ではありませんよ。彼なりに、なまえさんを思いすぎた結果なのですから」 「まさか」 「本当です」 まったくどこまでも素直ではないのが玉にきずだが。と、息をひとつついて、彼の双子の弟に視線をやる。酔っ払って転び、地面に倒れたまま眠っているアイアコスの顔に油性マジックで落書きをするだけでは飽き足らず、歯磨き粉のトッピングつきだ。もちろん全て顔面である。整った顔が台無しだ。 「はあ・・・、カノンはあれだけやりたい放題だと言うのに・・・」 変なところが正反対な兄弟だと、楽しそうだから参加させろとカノンに加わったミーノスとデスマスクに、もう一度息をついた。 どうか、サガもあれくらい自分のしたいように行動してなまえと和解してくれることを祈る。 |