パーティ当日の夜。
教皇宮の廊下から見える外は真っ暗で大雨が降っていた。



「豪華だ・・・」

パーティ様式に飾られた教皇の間を、なんとなしに眺めていると背中に衝撃を感じる。
そしてそのまま首に回された腕に驚いていると頭上から楽しそうな声がかかった。

「よう、なまえ!!」
「わあ、アイアコスさん!!」

見上げれば、冥界で出会った彼が楽しそうに笑いながら私に覆いかぶさっていた。

「お久しぶりです!」
「ああ、なまえと無事に生きて会えて良かった!」
「いや、まったくですね!ご迷惑をおかけしました」

元気よく笑ったアイアコスさんにつられて微笑んだところで、ラダマンティスさんとミーノスさんが入ってきた。

「なまえ、アテナは?」
「沙織ちゃんはパンドラちゃんと奥に入りましたよ?あ、ミーノスさんが来たら来るように言っていました」
「おや、私ですか?」

名前が呼ばれると思っていなかったらしいミーノスさんは小首をかしげながら、私の指示した部屋へと向かっていった。
ラダマンティスさんとアイアコスさんはそれを不思議そうに眺めてから私を見る。

「何かするのか?」
「よく分かりませんが・・・。あ、どうぞ、お二人もこちらへ。もう皆さんお揃いですよ」
「いや、それが・・・ハーデス様が見当たらないのだが・・・」
「あ、さっきカーテンの後ろで、体育座りしながらカクテル飲んでいましたよ」
「・・・カーテンの後ろ・・・、ハーデス様・・・」

ラダマンティスさんは私の指差したカーテンのほうを見て、そこが僅かに盛り上がっているのを見て胃を抑えた。
アイアコスさんはそれをけらけらと笑いながら、奥へ進んでいく。

素敵眉毛おにーさんはしばらく胃を押さえて今にも泣きそうな顔で、ハーデスさんを眺めていたがやがて諦めたのかアイアコスさんの後を追った。


「おう、ラダマンティス」
「カノンか」
「ちょっと面かせ。良い酒が入ったんだ」
「いや、俺は・・・」
「堅苦しいこと言わずに黙ってこい」

ぐいぐいとカノンさんに連れて行かれたラダマンティスさんを傍目に、アイアコスさんにカクテルを手渡す。

「乾杯は?」
「あとで沙織ちゃんが来たら、一斉にすると思います。まだ正式には始まっていないので」



もう黄金聖闘士さんたちは好き勝手飲み食いをしてしまっているがと笑えば、アイアコスさんも笑った。



「自由だな」
「自由ですね」
「なまえー!こっちにおいで!良い酒があるんだ」


振り向けば、アフロディーテさんとデスマスクさんが何やら高そうなお酒の瓶を大量に抱えて笑っている。



「や、やです!だってデスマスクさん、私にいつも頭からお酒かけるじゃないですか!野球が優勝したんじゃないんですよ!」
「お前が飲まないのが悪い!」
「まあまあ。じゃあ、なまえ、後で話しにでもおいで」
「はい、アフロディーテさん!」

そう言って微笑みながら手を振ったアフロディーテさんに微笑み返して、私はアイアコスさんと壁際に移動した。










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