ぴーちくぱーちく

小鳥のさえずりが聞こえる。

「・・・う?」

しまった。
どうやら眠ってしまったようだ。
なんだか暖かいし、落ち着く香りだ・・・。
なんのかおりだっけ・・・?ああ、そうだ・・・。サガさんの匂いだー。うへへ、・・・サガさんの匂い?・・・え、なんで?

なんでなんで?


えーと、昨日は何していたんだっけ?

暗く淀んだ記憶を手繰り寄せるように辿っていく。

えーと、そうそう、サガさんとカノンさんがちっちゃくなって・・・、ちっちゃくなって?



・・・ゆ、夢であってくれ。

「・・・・・・・」

ぱちり、と目を開ければ目の前には普段通りの大きな二人が、一つのベッドに少し窮屈そうに転がっていた。

「あー、・・・夢か・・・」

サガさんたちが小さくなったのも夢!今目の前で彼らが寝ているのも夢!

うん、もう一度寝よう。そうしよう。
目が覚めたら目の前にサガさんが眠っていて、私が彼の部屋にいるなんてありえない。というかあってはならない。潔白な男女の付き合いとしてあってはならない事故だ。

「・・・う、ん・・・」

そうそう、だからセクシーな吐息が聞こえたとか気のせい気のせい。気のせいなんだよ、なまえちゃん!!

「・・・、・・・なまえ?ここで眠ってしまったのか?」
「うわあああ!!ですよね、現実ですよね!!ごめんなさい!勝手に部屋で眠りこけてすいませんでしたあああ!!あっ、でも現実なら元のサガさんに無事戻ってくれて良かった!!」
「お、落ち着いてくれ」

スライディング土下座をしようとした私をサガさんが必死に止める。
あまりの騒ぎ具合に寝ぼけたカノンさんが私に枕を投げてきた。くそぅ、地味に痛かったぞ・・・!!


「・・・ムウ、だな」
「ムウさん、でしょう」

昨晩のことを思い出したらしいサガさんはため息とともにそう吐きだした。あ、眉間にしわが・・・。

「何がしたかったのだ、あいつは・・・」
「彼の考えは私には理解不能です。なんてったって、あの可愛い貴鬼ちゃんにおまけなんてニックネームつけるくらいですからね」

ふと目に入った時計は、ちょうど良い時間を示していて。
私はとりあえず部屋に戻ってシャワーを浴びて着替えることにする。

あとで執務室でまた会おうとサガさんに告げれば、彼は穏やかに微笑みながらうなづいた。

綺麗に片付けられた部屋を抜ける。
プライベートルームの扉に手をかけた時、サガさんから声がかかった。

「なまえ」
「はい?」

振り返った私に、彼は珍しいほどにこにこと笑いながら言った。




(ありがとう)
(・・・?なにがですか?)
(いいや、)
(・・・・・・?そうですか?・・・あ、そうだ、サガさん!お誕生日おめでとうございます!カノンさんも!!)
(・・・ああ、ありがとう、なまえ)






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